GPSと農業



GPSやGISを活用した先進農業機械

 北海道では、GPSやGISを活用した先進農業機械・技術の普及推進に取り組んでいます。道内の農家には、農作業の省力化、高精度化に向けた基本的な技術として、農業用GPSガイダンスシステムの普及が進んでいます。



GPSガイダンスシステムとは

 GPSガイダンスシステムとは、GPSによりトラクタの正確な位置を測位してリアルタイムにモニターに表示し、農作業を行う際の走行経路をガイドする、いわば「農作業用カーナビ」とも言えるシステムで、効率的な運行や夜間の運転に効果を発揮します。またオプションを装着すると、ハンドルの自動操舵や作業完了範囲のマッピング、作業履歴データの管理なども行えます。連動して肥料や農薬の散布量を自動制御する機械や無人運行システムの研究も進められています。 トラクタを用いた耕起、整地、肥料散布、防除作業などでは、敷地内で重複や抜けがないよう均一に走行することが重要になります。従来であれば農産物を育てる圃場の周囲につけたマーカーや、作業機の走行跡の目視を頼りに運転していましたが、GPSガイダンスでは画面に表示される案内に沿って走行することで、正確な経路を走れます。



みちびきを使った農業機械研究

 「みちびき」の測位信号を利用して、農業機械をロボット化する研究を行っています。農機が自分の位置を正確に知ることで、自動走行できるだけでなく、自分がすべき作業を認識して遂行可能になります。例えば、あらかじめ走らせたいコースをトラクターの制御コンピュータに記憶させておけば、コースから外れたら自動修正しますし、場所ごとに適切な量の肥料や農薬を散布できます。ロボット化した農機を精度良く動かすためには、安定性の高い測位システムが非常に重要です。



「みちびき」の実証実験成果

 2011年から「みちびき」を使った2つの取り組みを行っています。一つ目は、アメリカのGPS衛星を補完する実験で、「みちびき」が GPSの代わりとして機能するかどうかを試験しました。これまでは、GPS衛星の位置によって、建物や防風林に遮られて測位信号を受信できない時間帯がありました。でも、生き物相手の農業では、そのタイミングが重要なので、測位信号が受信できずに農機が動かないようでは困ります。「みちびき」が加わると、GPSのみを使っていた時よりも、測位できる時間を増やせて、より安定した位置情報を取得できることを確認しました。  二つ目は、GPSを補正する「みちびき」独自の実験用信号(LEX信号)を用いた実験です。LEX信号を使うと、トラクターの位置を精度数センチ単位で知ることができるため、より安全にトラクターを自動走行させることができます。これまでLEXのような補正信号は地上局から送信され、携帯電話を使って取得していましたが、農村部では電波状況が悪く、信号を受信できないエリアがありました。「みちびき」は遮蔽物がない宇宙から信号を送りますので、そのような心配はなく、測位可能なエリアを広げられます。実証実験では、これまでの方式よりも、高精度な測位ができたことを確認しました。



作業負担軽減や収穫量増加などの効果

 北海道農政部生産振興局技術普及課では、道内の農家に聞き取り調査を行い、「GPSガイダンスなど先進農業機械活用事例」をまとめており、GPSガイダンスを利用している農家の声を知ることができます。最新の2014年度版では、9件の事例が紹介されており、マーカー設置作業がなくなり作業負担が軽減されたり、均一な肥料散布により肥料費と作業時間を削減しかつ収穫量が増加したなど、さまざまな効果が報告されています。 また、事例集では、防風林や建物の影に入った場合などに位置情報の精度が低下するので、衛星数の拡充を求める農家の声が紹介されています。通信が不安定な山あいや防風林沿いの農地などでも、低コストで安定的に測位精度向上が図られることで、研究開発と農業者のチャレンジが広がることが期待されます。



GPSを活用した高生産性農業の支援

   ここ数年、農業分野でのGPS利用は、実際の農作業利用へと普及しています。  GPSガイダンスシステムは、農作業の経路を示すガイダンスシステム(農作業用のカーナビ)の導入が、急速に進んでいます。 GPSガイダンスシステムの活用 GPSガイダンスシステムは、農作業機械の作業幅に合わせて、作業経路を誘導するものです。  GPSガイダンスを利用して、代かき作業を実施しました。水面で作業経路の目標を見失う場合でも、モニターには作業経路とトラクタ位置のずれ具合が表示されるので、画面とライトバーを見ながらハンドルを操作すると、等間隔の直進走行が容易にでき、今回の試験的な利用でも実感されました。大区画圃場では、より効果を発揮できます。



高精度GPSの活用

 高精度GPSを使用すると、水平精度は2~3cm程度、鉛直精度は5cm程度と言われています。これだけの精度が確保されると、GPSの活用範囲が広がります。  水田では、均一な生育を確保するために、圃場の均平度の維持が重要です。高精度GPSを利用して、耕起作業前の水田の高低計測を実施しました。  トラクタのキャビン天井にGPSアンテナを設置して、キャビン内にはGPS受信機とノートパソコンを持ち込みました。面積67aの水田の計測時間は、約20分です。  高低計測結果のマップでは、高低差は±3cm程度で、白い部分が多いので、均平精度が良いことがわかります。  このように、圃場の高低差が計測後すぐにわかると、その後の均平作業、代かき作業等に便利です。



今すぐお問合せ

















WillGPSでリアルタイム追跡しましょう。

WillGPSは、PCやiPhoneなどのスマートフォンからリアルタイムで追跡する事ができるGPS発信機及び位置情報サービスです。電波がなければ利用できなくなる一般的なGPS位置検索サービスとは異なり、電波がない場所でもGPS情報を一旦端末に保存し、定期的に電波を通じてGPS情報を発信する仕組みです。この仕組みにより、携帯電波がないエリアでも利用可能となり、より広範囲のGPS追跡が可能です。 また、GPS発信機に3Dモーションセンサーが内蔵しており、移動しない場合は自動的にスリープ状態に入るため、従来のGPS発信機より電池寿命が長く、長時間追跡できます。


ご意見ボックス