林業現場のGPS



人工衛星と林業(GPSの活用)

 最近はGPS受信機という機械を使っています。写真はパソコンと連動させているもの(パソコンの右の黒い小さい箱)ですが、要するに最近若者に人気のカーナビと同じものです。電子地図上に現在地が表示されるので目的の林地の近くまで地図を頼りにいけます。そして、車を降りた後は目的現在地の正確な緯度経度がわかるので施業図上で自分の位置を確認でき、目的地との位置関係を知ることが出来るので簡単に目的地に到達できます。  GPSの詳しい原理は省略しますが、片手にもてる携帯受信機が数万円であり、数個の人工衛星からの信号によって現在地を標高も含めて現在地を10m以内の誤差で正確に知ることが出来ます。林内に作られた作業道を施業図に落とす場合でも適当なポイントをこれで知ることによって簡易測量と同じように手軽に出来ます。  近い将来に、森林簿と地形図を統合した「地理情報システム」が森林組合にも導入されるだろうと言われていますが、これを活用して山を生かすベテラン職員さんの土地勘を補うものとして活用してみてはいかがでしょうか。  ただし、この受信機は上空がある程度開けた場所でないと受信できないので、林内では使えないことが多いかもしれません。いやいや、みなさんの間伐の進んだ優良林なら林内でも使えると思います。



GPSの仕組み

 GPSが提供する機能には、大きく分けて、簡易的な測位機能、精密 な測位機能、精密な時報機能がありますが、森林・林業の現場の測位業務で実用的に使える、簡易的な 測位(以下、単に測位と表記)を対象にします。 測位のために、GPS衛星は、おおまかな軌道情報(アルマナック)、 精密な軌道情報(エフェメリス)、そして精密な時報を発信して います。それらの情報をGPS受信機で受信し、必要な演算処理を行う ことで、自分の位置を知ることができるのです。 GPSで測位を行う基本原理は、ひと言で言うと地球規模での三辺 測量です。三辺測量で使われる光波測距儀と同様に、電波(電磁 波)の到達時間から距離を割り出し、現在位置を計算します。 GPS衛星(三辺測量における既知点)の位置座標は、上述のエフェ メリスと現在時刻から割り出せす。そして、あるGPS衛星 と受信機の距離は、電波の到達時間に光速をかけた以下の式で 計算できます。



森林を管理するために

 森林を管理するためには、整理・集約した地図と帳簿が不可欠です。 しかし、広大な面積、データ量の多さなど、森林測量や管理に、多くの人手と時間を必要としてきました。 GIS や衛星写真や航空写真の利用で、より森林の状況を把握でき、森林作業計画や、実行を効率よく進められるようになりました。 インターネット環境があれば、国土地理院の電子国土やGoogleMap(オプション)が背景地図として利用できます。



GPS誤差の原因

 森林・林業の現場で、測位ができなかったり測位誤差が大きくなったりする原因について、解説します。 アルマナック(GPS衛星軌道データ)を受信し終えていないため、 アルマナック(GPS衛星軌道データ)は全GPS衛星のおよその位置を算出するためのデータの集まりで、軌道のズレを修正するため、1週間程度で更新されています。アルマナックのデータ(GPS衛星軌道データ)は常にGPS衛星から発信されていますが、データ量が多いため、受信状況が良好な条件下でも(例えば、1基の衛星から)全情報を受信するためには、12分半ほどの時間がかかります。これが林内など電波を受信しにくい環境ではさらに時間がかかります。しばらく使っていなかったGPSを久しぶりに持ち出していきなり林内で電源を入れた場合には、なかなか位置情報が表示されないことがありますが、これは新しいアルマナック(GPS衛星軌道データ)を受信できていないことによる場合が多いと考えられます。



GPS衛星の電波が遮断される

 三辺測量の原理では、使用可能な衛星が天空に 広く配置していることで、三辺測量の精度が上がります。 森林・林業の現場では、樹幹や切り立った林道のり面などにより 衛星の電波が遮断され、衛星配置の広がりが確保できない場合が あり、それが誤差を大きくする原因となります。なお、樹木の葉は、 ほとんど電波を遮らないと言われています。 GPS衛星の配備数が少なかった時代には、時間帯によっては上空 を飛んでいる衛星が少なく衛星配置の広がりが確保できず、誤差が 大きくなってしまうことがありましたが、現在ではそれほど気にする 必要はありません。



天候や大気の状況などに起因する誤差

  上述の障害をクリアしているときでも、電波の伝搬速度に影響する電離層の状態や大気中の水蒸気密度の変化などにより、ある程度の誤差が生じることがあります。



GPS精度よくするために

 誤差の原因を理解した上で、森林・林業の現場で 精度よく測位するための留意点を、纏めてみます。 現場に向かう車中などであらかじめ受信機を起動する毎日GPSを使っているときにはあまり気にする必要はありません が、特にGPSをしばらく使っていなかったときには、アルマナック(GPS衛星軌道データ)を 受信するために、電波の受信条件が悪い林内に入る前に受信機を 起動しておくと、林内でもすぐに測位できるようになります。測位結果(経緯度の値)が一度表示されれば アルマナック(GPS衛星軌道データ)は受信できていますので、受信機の電源を切ってもかまいません。 なるべく条件のよい場所で、しばらく待つ既定の測点を測位する場合には工夫が必要ですが、 衛星の電波をなるべく受信しやすい環境で測位すると、測位精度が改善されます。 例えば、大径木のすぐ近くでは衛星からの電波が遮断・反射されやすくなります。



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WillGPSは、PCやiPhoneなどのスマートフォンからリアルタイムで追跡する事ができるGPS発信機及び位置情報サービスです。電波がなければ利用できなくなる一般的なGPS位置検索サービスとは異なり、電波がない場所でもGPS情報を一旦端末に保存し、定期的に電波を通じてGPS情報を発信する仕組みです。この仕組みにより、携帯電波がないエリアでも利用可能となり、より広範囲のGPS追跡が可能です。 また、GPS発信機に3Dモーションセンサーが内蔵しており、移動しない場合は自動的にスリープ状態に入るため、従来のGPS発信機より電池寿命が長く、長時間追跡できます。


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